こんばんは。
今年はこちらではキンモクセイの開花が遅く、今満開です。外を歩くとあちこちから香ってきます。
さて、ちょっと変わったシャツを作ったのでそのことを書きます。
「越前シャツ」という、岐阜県の一地域で、作り方の冊子によると「おそらく、明治から昭和初期にかけて」作られていたという作り方のシャツです。
外見は小さなバンドカラーのシャツなのですが、衿と衿あき以外のパーツは直線でできています。
石徹白洋品店(いとしろようひんてん)という服作りのブランドが作り方の冊子を販売しているのを偶然見つけて、興味を覚えてそれを買ってみました。
冊子によると、昭和2年生まれの女性から作り方を教わって、ブランドの製品として販売するとともに、作り方の冊子を製作して発行したそうです。
冊子での作り方は、現在に合わせてアレンジしているそうですが(広く流通している110cm幅の布で作る、現代人の体型に合わせている)、作ってみての感想は「作って身に着ける文化人類学」でした!
(衿と衿ぐりを除いて)型紙はなく、布の上に長方形や三角形を描いて裁っていきます。ほんとにこれで長袖シャツになるのかな?と思うけど、順番に縫い合わせてゆくとちゃんとシャツになりました。
びっくりしたのは、少しの用尺(110cm幅の布を1.3m)で私サイズ(大柄でふっくらしています)の長袖シャツが作れること。洋裁の型紙を使うなら、少なくとも2.2mは必要だろうと思います。
冊子によると、このシャツが作られていた当時は着物用の幅のせまい布を使って手縫いで作っていたそうで、何枚も重なったところを手縫いして押さえのステッチを入れるのは大変だっただろうなと思いました。(私はミシンで作りました。)
ボタンホールは、ミシンでボタンホールを作って穴を開ける、という作り方ではなく、縫い目を利用して(ボタンホールの部分だけ縫わずに開ける)作る、というもので、その作り方を思いついた人はすごい! とびっくりしました!ボタンホールの両端には「閂(かんぬき)どめ」という補強のステッチを手縫いでするのですが、それをしながら「昔、このシャツを作っていた人は、着る人の無事や健康を祈りながら、こうやって手を動かしていたのかもしれない」なんて想像をしました。
できあがったシャツは、小さなバンドカラーや細いカフスがかわいくて、クルーネックのカーディガンみたいな形だと私は思いました。そこがとても気に入っています。ワークウェアの雰囲気があるのも好みです。
これからの季節は重ね着の差し色として、暖かくなったら軽い羽織りものとしても着てみたいな!
違う生地でも作ってみようと思っています。
ご興味を持たれた方に、冊子の販売ページはこちら
https://itoshiro.org/products/bk2104es
このシリーズはデジタル版と紙版がありますが、「越前シャツ」は実物大型紙がついているので紙版がおすすめです!
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使った布 110cm幅の先染めチェックのコットン 1.3m
使ったボタン 直径11.5mmのナットボタン8個
製作日数 2日
材料費 368円(ボタン代)(生地とミシン糸は持っていたものを使用、金額不明)